四十肩(五十肩)と可動域~固まると大変です~
四十肩(五十肩)の症状の代表的なものとして、可動域の制限というものがあります。
四十肩(五十肩)は痛みも強くつらいものですが、この可動域の制限も非常に強く起こりやすく、日常生活のあらゆる場面で困ることが多くあります。
今回は、この四十肩(五十肩)での可動域の制限について書いていこうと思います。
四十肩(五十肩)と可動域~制限はずっとつきまとう?~
四十肩(五十肩)の可動域の制限は、急性期から慢性期にわたってずっと付きまとう症状です。
はじめの急性期では、肩のなかで炎症が起き、強い痛みが出現します。
その痛みによって可動域の制限が起こります。
固まって動かせないのではなく、四十肩(五十肩)が痛いから動かせないといった感じです。
そのため、この時期には、自分では動かせないけど、誰かが腕を動かすと思ったより可動域はある、ということが起こります。
そのため、日常生活では四十肩(五十肩)になってない方の手で、なった方の腕を支えながら動かすようにする人が多いです。
急性期を過ぎると、今度は徐々に肩の関節周りが固まってきます。
もともと、肩回りの筋肉が固い方が多いうえに、強い痛みやかばって使うことが習慣化され、さらに肩周りの筋肉ががちがちになってきます。
そうすると、今度は、ほかの人が腕を動かそうとしても可動域の制限が出現してきます。
この時期には、腕があがりにくくなるだけでなく、肩を捻る動作や腕を外にもっていく動作、反対側の肩を触る動作も制限が徐々に出てくることが多いです。
さらに、炎症の影響で関節の一部(潤滑油の袋など)が癒着(べったりくっつくこと)してしまい、急激に可動域の制限が起こることもあります。
さらに、時期が進んで慢性期になると、いよいよ関節が固まってきます。
この時期になると、四十肩(五十肩)の痛みそのものは最もひどい時と比べると落ち着いていることがほとんどです。
関節はというと、筋肉はガチガチで、さらに関節を包む袋や靭帯なども短縮してしまうのでもはやにっちもさっちもいかないくらい可動域の制限が起こってきます。
- 腕は肩の高さ以上挙がらない
- ズボンの後ろのポケットにすら手が届かない
- 外に全くねじれない
など、生活上困ることがものすごく多くなります。
このように、四十肩(五十肩)のどの時期をみても可動域の制限が付きまといます。
しかし、はじめのうちから適切な対応を行うことで、このような可動域の制限は軽くすることができます。
まずは適切な診断を受け、対応をしていきましょう。
四十肩(五十肩)で可動域の制限~痛くても動かした方がよい?~
では、四十肩(五十肩)で可動域の制限という症状があらわれた場合の注意点や対処について書いていこうと思います。
四十肩(五十肩)で可動域の制限がある場合の基本的な対処としては、無理やり動かさないということがあります。
どうしても固まったら嫌だからとか、我慢した方が動くと思ってとか、無理に動かそうとする方が多いです。
しかし、痛みを出してまで動かそうとすると、結局は肩の中の組織を傷めてしまうことになるので、決していいとは言えません。
もちろん動かさないよりは動かした方がよいのですが、強い痛みのない範囲で、しかもあまり肩に力が入り過ぎない、ということを意識して行うことが大切です。
筋肉が伸ばされるような心地よい痛みならOKです。
対処としては、急性期であれば、動かす時は反対側の手で腕を支えながら動かすことがポイントです。
以前も書きましたが、クッションなどを使って腕が楽な位置に常に置くようにする、ということも、いざ動かす時のための準備としては重要となります。
急性期をすぎると、周りの筋肉の固さが増してくることが多く、徐々に炎症もおさまってくるので、ゆっくりと痛みのない範囲で動かしていくとよいでしょう。
タオルや棒などをもって、両手をあげたり、あげたまま体を横に倒したりと、軽めの体操が有効です。
ぶらーんと腕を垂らして揺らす、などのリラクゼーションも有効です。
慢性期になると、本格的に固まってくる代わりに炎症もおさまり、痛みはほどほどになってきます。
こうなってくると、さらに積極的に(といいながらも無理はだめですが)動かしていくとよいでしょう。
ポイントは、肩の可動域の制限があるから肩ばかりを動かす、というよりも背中から肩甲骨、首などいろいろな部分を無理のない範囲で動かすことです。
痛みに関しては伸びた感じで多少痛い、というくらいなら大丈夫かと思います。
四十肩(五十肩)で可動域の制限は必ず起こります。
いろいろな方法がありますが、その状況によって行うべきことは異なります。
なので、可能なら医療機関で理学療法士によるリハビリや自宅で行うことの指導を受けてみてはいかがでしょうか?