四十肩(五十肩)と角度について
「肩が痛いんですが、ある角度だけですし四十肩(五十肩)じゃないですよね?」
「同じ動きでも、痛みがあるときとそうでないときがあります。ちょっとした角度の違いで痛みがあったり、なかったりです。」
なんてことを耳にすることは、とても多くあります。
四十肩(五十肩)の病態には様々なものがあり、その時期や程度によって、実はいろいろな特徴を示すのです。
今回は、その中でも四十肩(五十肩)の腕の上がり具合、すなわち角度に絡めた話を書いていこうと思います。
四十肩(五十肩)で角度によって痛みが違う理由は?
主に、四十肩(五十肩)の初期の場合、腕はあがるんだけど時々痛い、なんてことがよくあります。
しかも、同じ動作をしても肩の角度によって痛みがあったり、なかったりすることが多いようです。
痛みの出やすい角度としては「肩の高さ」くらいです。
この角度を腕が通るときには痛みがあるのですが、それを通り過ぎて上まで腕が上がると痛みがない。
また腕をおろすときに、肩の高さ付近を通ると痛みがある、なんていう特徴があります。
これは、四十肩(五十肩)に限らず、肩の関節が上手く動いておらず、グラグラした状態のときに起こるものです。
ちょうど肩の高さ付近の角度は、肩の骨が屋根のような部分を通り抜けるときの角度です。
そのため、グラグラしていると、そこで屋根と衝突してしまい(インピンジメント症候群といいます)四十肩(五十肩)にもっともなりやすい角度なのです。
そのため、同じ動作でもうまく屋根をくぐり抜けると痛みがなく、あたると痛みが出る、ということが起こってしまうのです。
この衝突を繰り返すと、徐々に肩回りの筋肉が痛んでしまい、毎回屋根に衝突するようになってしまいます。
また、肩に痛みが出やすい角度としては、外や内にひねるという動きがあります。
特に、顔を洗う、髪を結ぶというような「少し腕をあげた状態」でひねる動作で肩の痛みが出やすいのが特徴です。
結局、先ほどと同じように、肩の高さ付近の角度が一番問題であることがおわかりいただけたでしょうか。
もし、四十肩(五十肩)の人が、最後まであげきった角度で痛みが出るようであれば、単に肩の中の問題だけでない可能性があります。
肩甲骨の動きや、背中の伸び具合など、いろいろな部分の問題があることを示しています。
肩の動きは、実はたくさんの関節が影響しあって動いているのです。
四十肩(五十肩)の痛みがでる角度には、上に書いたように特徴的な角度があります。
四十肩(五十肩)の肩の角度によって痛みが違う場合の対処法
では、四十肩(五十肩)の腕のあがる角度というところに絡めて、注意点などを書いていこうと思います。
四十肩(五十肩)で痛みが出やすい角度は、肩の高さ付近ということは前述しました。
そもそも、この角度に腕をあげたまま何かをすること自体、四十肩(五十肩)の方は極力避けた方がよいでしょう。
腕をあげる角度によって痛みがあるが、上まで十分に腕をあげられるという場合も多いです。
しかし、その場合も肩の高さ付近でかつ、ひねるときだけ痛みが出ることがよくあります。
この場合は、肩の中の小さな筋肉がうまく機能していないことが考えられます。
対処としては、立って手を横に広げる運動(手を体の横に垂らした状態から、繰り返しリズミカルに軽く太ももを叩くような運動)を行うとよいでしょう。
特に、負荷をかけずに行うことが大切ですが、おもりを持つにしても500mlのペットボトルに水を入れたくらい程度のおもりがちょうどよいでしょう。
重ければ重いほどいいかというと全くそんなことはありません。
さらに、特定の角度だけで痛みが出る場合には、周りの大きな筋肉が過剰に緊張し、力が入りやすい状態にもなっています。
そのため、対処として肩甲骨を回す、肩をすくめてすとんと落とすなどの脱力をするような体操を積極的に行うとよいでしょう。
力を入れていないと思っても、無意識に肩回りを固めてしまうような反応が学習されてしまうので、意識的に脱力を心がけてみてください。
四十肩(五十肩)にも、腕のあがる角度によっていろいろなことが起きています。
単に腕が上がる、上がらないではなく、その特徴を知って適切な対処をおこなっていきましょう。