四十肩(五十肩)とインピンジメント症候群~特殊なものなの?~
四十肩(五十肩)になった場合、医療機関でインピンジメント症候群といわれることがあります。
医療機関で用いる名前とはいえ、診断名としては用いられないようですが、耳障りがよいためかメディアでも使用されることがある表現です。
インピンジメント症候群?・・・と、聞いたことがない方にとっては、まったく見当もつかない名前だとも思います。
今回は、このインピンジメント症候群と四十肩(五十肩)について書いていこうと思います。
四十肩(五十肩)とインピンジメント症候群の違いは?
四十肩(五十肩)とインピンジメント症候群は、何が違うのでしょうか?
まず、インピンジメント症候群とはなんなのか?というと、肩の関節の中で、腕の骨が肩甲骨側の骨とぶつかる、こすれることをいいます。
正確には骨同士がこすれる前に、腕の骨と肩甲骨の一部である肩峰という骨の間にある腱板という筋肉や、肩峰下滑液包といわれる潤滑油の袋がこすれて炎症を起こすのです。
この様々な原因によって、腕の骨が色々な組織とこすれる、骨同士がぶつかるという現象をインピンジメント症候群というのです。
そのため、インピンジメント症候群はあくまで結果であり、なぜインピンジメント症候群が起きてしまうのか?ということの方が重要視されるので、ともすれば「だからなに?」という風におっしゃる医師もいるようです。
むしろ、四十肩(五十肩)のほとんどでインピンジメント症候群が起きているといっても過言ではありません。
そのため、インピンジメント症候群といわれたから四十肩(五十肩)と違って特別なことをするわけではありませんし、四十肩(五十肩)に対する対応を行っていくことには何ら変わりはないのです。
インピンジメント症候群の場合の症状としては、基本的には四十肩(五十肩)とあまり変わりません。
ただし、腕をあげていくと、肩の高さ付近でチクッと痛みがでる、髪を解こうとしたり、腰に手を回したりするときにある角度で引っかかるような感じとともに痛みが出る、などが代表的な症状です。
こすれることが何度も起きると、肩の中での炎症が強まり、インピンジメントを起こしていなくても痛みが出るようになってきます。
こう書くと、四十肩(五十肩)と言われてもあまり変わらないね、と思う方も多いかもしれません。
その通り、インピンジメント症候群と四十肩(五十肩)は大きな違いはありません。
あくまで現象の一つとしてとらえていただければ大丈夫です。
ともあれ、四十肩(五十肩)、インピンジメント症候群と言われればあまり無理に動かさないほうが賢明です!
インピンジメント症候群と四十肩(五十肩)~無理して挙げないで!~
四十肩(五十肩)になった人が病院でインピンジメント症候群だといわれ、なんじゃそれ?となることがあるようです。
先ほども書いたように、インピンジメント症候群は、肩の関節の中で骨同士や間にある組織がこすれることをいいます。
インピンジメント症候群はあくまで結果であって、いろいろな理由でこすれやすくなる、その理由のほうが四十肩(五十肩)の治療にとっては大事なポイントとされています。
結局は、四十肩(五十肩)の言い方をかえたようなものと考えてよいでしょう。
さて、今回はそのようなインピンジメント症候群になったときの注意点などについて書いていこうと思います。
インピンジメント症候群だといわれた場合、基本的なことは、四十肩(五十肩)に対する注意と同じです。
大原則は「無理して動かさないこと」です。
特に、肩の高さ付近でこすれることが多いので、それ以上あげないことが大切です。
同じように、体の横に手を伸ばす動作もインピンジメント症候群を引き起こしやすい動作ですので、なるべく体の前で物をとるようにするとよいでしょう。
同じような理由で、やはり姿勢の影響も大きいとされます。
姿勢が悪い状態だと、肩甲骨が前に出てしまい、腕は挙がりにくい状態になります。
関節もこすれやすい状態なわけです。
少し顎をひく、胸を張る、くらいは注意しておくとよいでしょう。
インピンジメント症候群の怖いところとして、繰り返してこすれることにより、肩の中の筋肉である腱板の断裂を引き起こしてしまうことがあります。
断裂するとひどい時には手術が必要となることもあり、まずはインピンジメント症候群でこすれる頻度をいかに少なくできるかが勝負になります。
インピンジメント症候群は、四十肩(五十肩)と大きな変わりはありませんが、インピンジメント症候群を引き起こしやすい状態については、やはり医療機関で適切な治療をうけること、生活の指導を受けることが大切です。
軽いうちにまずは相談してみてはいかがでしょうか?