四十肩(五十肩)と腕立て伏せ~筋トレは良いに決まってる?~
四十肩(五十肩)の予防のために腕立て伏せはいいのか?
四十肩(五十肩)になったら腕立て伏せをして筋力をつけた方がきっとよいのでは?
なんていう質問を耳にすることがあります。
今回は、「四十肩(五十肩)に腕立て伏せは良いことなのか?」について書いていこうと思います。
まず、四十肩(五十肩)にとって腕立て伏せはよいのか、悪いのか?
答えとしては「悪いことの方が多い」です。
四十肩(五十肩)に腕立て伏せが良くない理由は?
四十肩(五十肩)と腕立て伏せが良くない理由としてはいくつかあります。
最初の理由は、四十肩(五十肩)になる方が腕立て伏せをおこなうと、大概の場合、フォームを乱して行うことが多いからです。
回数にこだわり過ぎたり、限界まで無理やり行ったり、そんな風に腕立て伏せをしたことがある方は多いのではないでしょうか?
腕立て伏せは、両肩に強い負荷をかける運動です。
そのため、日常生活で手を使うのにも苦労する四十肩(五十肩)の状態で、強い負荷をかけることは時期尚早なのです。
適切なフォームや動きでできる負荷量を見誤るケースがほとんどなので、四十肩(五十肩)に腕立て伏せはよくない!という話になってしまうのです。
もう一つ、四十肩(五十肩)に腕立て伏せがあまりよくないと考えられる理由は、それによって鍛えられる「筋肉」の問題があります。
腕立て伏せでは、大胸筋や三角筋、上腕二頭筋や上腕三頭筋といった筋肉が主に鍛えられます。
四十肩(五十肩)の場合、肩の中の小さな筋肉が傷つくことで発症することが多く、外の大きな筋肉が痛みなどによって過剰に働きすぎることがよく見られる現象なのです。
そのため、ただでさえ過剰に働き過ぎている外の大きな筋肉をさらに鍛えても決していいことはないのです。
中でも、大胸筋という筋肉が固くなると肩甲骨が前に引っ張られ、姿勢が悪くなる要因にもなりかねません。
実際、私の周りにも「肩を痛めたから腕立て伏せを頑張った」という方がいらっしゃいますが、改善するどころか痛みがひどくなってしまいました。
その際、適切におこなうこと、その他の補うべきポイントをお伝えしたところ、それだけで改善の方向に向かいました。
また、似たような運動でベンチプレスを行った後に四十肩(五十肩)になったという話もよく耳にする話です。
四十肩(五十肩)にとって腕立て伏せが絶対にダメな運動とはいえません。
適切におこなうことで予防や治療になるのですが、適切に行われない場合があまりにも多いようです。
改めて、腕立て伏せのやり方を見直してみてはいかがでしょうか?
腕立て伏せで四十肩(五十肩)解消?~そんなに簡単じゃありません~
では、四十肩(五十肩)の予防や治療に対して、腕立て伏せをどのように行うのが良いのでしょうか?
まず、四十肩に(五十肩)にとって、肩甲骨の動きを確保することは、悪化を防ぐうえでとても重要な要素です。
しかし、腕立て伏せを行うと大胸筋といわれる胸の前の筋肉が鍛えられ、硬くなるために、良い姿勢を保ちにくくしてしまいます。
そのため、腕立て伏せを行うときには、肩甲骨の動きも含めた腕立て伏せを意識することが大切です。
さらに、腕立て伏せで使った筋肉のストレッチを必ず行う、肩甲骨を回す、姿勢を意識してみる、などの肩甲骨から背中まわりの柔軟性を確保することも忘れてはいけません。
さらに腕立て伏せを行う際のフォームにも注意点があります。
具体的には、以下のようなことです。
- 手をついて身体が床の方に降りる際、左右差がないかどうか?
- 単に、肘の曲げ伸ばしの運動になっていないか?
- 痛みがあるとき、脇を開き過ぎないようにしているか?
- 軽く顎を引いて頭の位置もよい姿勢を意識できているか?
もしくは、背中が丸まったまま行うなどもよくないですね。
回数の話などは先にも触れましたが、無理に回数を重ねるよりも正しいフォームで、できる範囲で行うことが大切です。
フォームを崩して限界を超えようとしても、あまり大きな意味はありません。
デメリットばかりを書いてしまいましたが、四十肩(五十肩)にとって腕立て伏せはいい面もあります。
ただし、悪いことが多く聞こえてくるのは腕立て伏せを正しく機能的に行うということ自体がかなりレベルの高い動きだからです。
うまくできる人がほとんどいないにもかかわらず、一般的な運動として広まってしまっている、というところが問題です。
まとめますと・・・
- 大切なポイントは左右均等に上げたり下げたりを行う
- 肩甲骨の動きも意識する
- 顎を引く、背中が曲がらないようにするなどの姿勢を意識する
- 腕立て伏せ後は、胸の前の筋肉をストレッチして肩甲骨周りの体操を行う
・・・というところでしょうか。
腕立て伏せのような運動を積極的に行うことはとてもよいことです。
しかし、その運動のリスクを知って適切に継続していきましょう!