四十肩(五十肩)で抜けそう~力がふっと抜ける感じ?~
四十肩(五十肩)になった方で「肩が抜けそうな感じがします」という話を聞くことがあります。
実際に脱臼するまでにはいかないのですが、日常生活でなにかと肩が抜けそうになり困ることがあります。
さて、このように四十肩(五十肩)で抜けそうな感じがする場合、実際にはどのような状況であり、どのようなことが原因として考えられるのでしょうか?
ここでは、四十肩(五十肩)で抜けそうな感じがする、という症状についてご説明します。
四十肩(五十肩)で抜けそうな感じがするのはナゼ?
四十肩(五十肩)で肩が抜けそうな感じがする場合、抜けそうといっても実際に脱臼していることはありません。
肩の関節の中で、腕の骨が上手く支えられず腕を動かしている時にスリップしているようになっていることがわかっています。
さらに、肩の関節の受け皿側の周りについている関節唇(窓枠のパッキンのようなものです)が、傷ついていることが多くあります。
このパッキンのような関節唇が傷んでいて、そこに腕の骨が当たると、体は反射的に「脱臼する」と判断してしまい抜けそうな感覚が起こるわけです。
関節唇が傷ついてなければ適切な感覚が伝えられ、適度に関節を支えようとする反応が起きます。
ところが、傷んでいるとその反応が過剰に起こるわけです。
では、関節の中で腕の骨がスリップする原因は何なのでしょうか?
それは、支える筋肉の問題や関節を包む袋や靭帯の緩さの問題が考えられます。
四十肩(五十肩)は、大なり小なり肩を支える腱板という筋肉にキズがついています。
(中には腱板断裂の場合もあります)
そのため、四十肩(五十肩)になると、関節を支える筋肉の働きが悪くなることで関節が不安定になり、抜けそうな感じになりやすいのです。
さらに関節を包む袋や靭帯が生まれつき緩い人や一度脱臼したことがある人では関節がもともと不安定であり、ますます抜けそうな感じが出やすくなるのです。
もちろん、人によって程度は様々で、普段は大丈夫だけど物をもって動かすと急に抜けそうな感じがしたり、ちょっと腕を大きく開いただけで抜けそうになったり、など様々です。
まずは一度レントゲン等できちんと検査をして、肩の関節の状態を把握してみてはいかがでしょうか?
抜けそうな四十肩(五十肩)~脱臼しているわけではないけれど~
四十肩(五十肩)の方で肩が抜けそうな感じがする方や、もともと抜けそうな感覚があって四十肩(五十肩)になる(繰り返す)方がいらっしゃいます。
ここでは、四十肩(五十肩)で抜けそうな感じがする場合の注意点や対処について書いていこうと思います。
四十肩(五十肩)で抜けそうな感じがする場合、対策としては肩を支える筋肉を鍛えること、日常生活で肩が不安定になる位置を把握して注意することになります。
まず、肩を支える筋肉を鍛える方法ですが、よく言われるインナーマッスルの強化になります。
専門的な部分に関しては、理学療法士によるリハビリを積極的に行っている整形外科で指導を受けるほうがよいです。
まあ、しかし、まずはご自身でやってみるのもよいでしょう。
まず、500ml~1Lのペットボトルに水をいれると500g~1㎏になります。
これを、四十肩(五十肩)になった方の手に持ち、体の横やや斜め前に45°程度持ち上げるということを繰り返します。
ポイントは、力を入れることを意識せず、むしろ振るような感じでポーンポーンとリズミカルに行うことです。
さらに、小さく「前へならえ」の姿勢をとり、手のひらを上に向けて脇を占めたまま手を外に持っていきます。
本来であれば、ゴムチューブなどで抵抗をかけるのですが、抵抗をかけすぎても効果がなくなるのでまずは抵抗無しで行うのがよいでしょう。
それぞれ50回程度から始めてもらい、徐々にセット数を増やしていくとよいでしょう。
もちろん痛みのない範囲で物足りないくらいのやり方がベストです。
それと、日常生活での注意点ですが、手を体の横から後ろにかけて伸ばすような動作が最も抜けそうな感じが出やすいです。
運転中に後ろの座席に手を伸ばすような感じでしょうか。
体の横や、後ろに手を伸ばすときは、しっかりと身体を捻じることを意識する、手を伸ばすより体を近づける、などを意識すると良いです。
そうすると、抜けそうな感じだけでなく、四十肩(五十肩)そのものの予防にもなるので習慣化するとよいでしょう。
四十肩(五十肩)で肩が抜けそうな感じがする場合、本当に注意が必要です。
ふとした時に、肩への負担が増しやすいので、また四十肩(五十肩)を再発するリスクも高いですし、腱板断裂になるリスクも大きいのです。
抜けそうな感じがする場合は、まずは医療機関で状態をチェックし、しっかりとトレーニングを継続することをお勧めします!