四十肩(五十肩)と水泳~どんどんやった方がいいってホント?~
四十肩(五十肩)で肩が痛むとき、周りに水泳を勧められた、という話をよく耳にします。
たしかに、水泳は全身運動であり、肩もよく動かすスポーツですので、四十肩(五十肩)にもきっと有効だと思うのもわかるような気がします。
それでは、四十肩(五十肩)にとって水泳は有効なのでしょうか?
答えは「有効ではあるが、リスクがものすごく大きい」です。
ここでは、四十肩(五十肩)に水泳が引き起こす影響についてご説明します。
四十肩(五十肩)に水泳がリスク大な理由は?
四十肩(五十肩)の慢性期に、固まった関節を動かそうとして泳ぐ場合にはある程度は有効と考えられます。
急性期の痛みが非常に強い時期は、もちろん水泳は痛みを悪化させることが考えられます。
そもそも、四十肩(五十肩)の病態として、肩の中の小さな筋肉が痛むことが要因として考えられます。
四十肩(五十肩)では、関節の動きが悪くなることが多いです。
結果的に、骨を安定させる筋肉が傷むので、逆に関節が不安定になることもあるのです。
関節の動きが悪い状態でも、関節が不安定な状態でも、水泳を行って肩をぐるぐる動かすことで、中の小さな筋肉や靭帯などが、益々こすれて痛んでしまうリスクがあります。
しかも、水泳というスポーツを考えると泳いでいる間中、ずっと肩を大きく動かしていることになります。
これは、肩にとっては非常にリスクが高くて危険と考えられます。
四十肩(五十肩)になっていない人が、予防のために水泳を行うことは有効です。
ところが、無理すると水泳をきっかけにして四十肩になる、なんてこともあり得るのです。
水泳の泳ぎ方で言うと、クロールや平泳ぎが一般的かと思います。
この二つの泳ぎ方を比べると、当然クロールのほうが肩への負担は大きくなり、四十肩(五十肩)を悪化させる可能性が高くなります。
四十肩(五十肩)の慢性期にゆっくり肩の痛みのない範囲で行えば、有効かもしれませんが、ついつい無理してしまう、という人が多いのではないでしょうか?
水泳は、非常に健康にとってよいスポーツです。
しかし、四十肩(五十肩)になってしまってから行うというのはあまりにもリスクが大きいものです。
四十肩(五十肩)で水泳したい~決してお勧めはしません~
四十肩(五十肩)を治すために水泳を行う、ということが、いかにリスクが大きいかは先ほども書きました。
日常生活でちょっと腕を動かすだけでも痛いのに、水泳でぐるぐる腕を回すことはやってもいい、なんてことがまかり通るわけがありません。
水泳をやるなら、四十肩(五十肩)に前に予防として行うか、治ったのちに同じく再発防止のために行うのがよいでしょう。
そんな四十肩(五十肩)の予防や、症状を少しでも早く治すために水泳を行う場合、どんな点に注意すべきか書いていきます。
ポイントとしては、以下のようなことがあげられます。
- 速く泳ごうとしない
- ゆったりと無理のないフォームを意識する
- 腕だけでなく体全体を使うことを意識する
速く泳ごうとすると、自然と無駄な力が入ったり、腕ばかりぶんぶんと回したりするようになります。
これは、肩にとっては非常に大きな負担になります。
同じような理由で、ゆったりと無理のないフォームを意識することが大切です。
無理に手を高く上げて泳いだり、水をかく動作を大きくしたり、なんてことをすると肩を痛めてしまいます。
体全体を使うというのも同じで、腕ばかりぶんぶんと回すことが多くなると肩への負担もますます増してしまうことになります。
準備運動では肩甲骨を回したり、体全体を捻じってみたり、など行うとよいでしょう。
四十肩(五十肩)で痛みがあるときでもプールに行きたい場合は、クロールなど行わず、水中ウォーキングなどだけでも実は有効です。
痛みがある時、腕を回す動作はよくないですが、水中で体操を行う、歩くなどは全身をほぐす運動になるので四十肩(五十肩)には非常に有効です。
お風呂と同様、水に入るだけでも心地よくリラックスできます。
なので、四十肩(五十肩)特有の痛みや日常生活の制限が強いことによる心理的ストレスの解消にも役立ちます。
また、四十肩(五十肩)に限った話ではないのですが、痛みのある所は無理して動かさない、痛くないところは積極的に動かす!というのがよいと思います。
水泳もそのよいところ、悪いところを知って四十肩の治療に有効に利用するのがよいと思います。
痛みのない範囲であれば積極的にプールへGo!です。